巻き戻して思い出を

ふくふく

2013年11月12日 06:07

とうとうその日は訪れた

最後に逢ったあの日から
どれくらい経ったのでしょう

嫌いになったわけじゃない
嫌われたわけじゃない

だから苦しかった
だから切なかった
だからこそ逢いたかった

あの日「またね」って言ったのは
いつか
きっと
また
この日がくることを望んでいたから

何も言わず 顔を見せて
いつかなつかしくなるように
ありったけの出来事を今
想い浮かべようとしてる



はにかんだような笑顔に胸がざわつく

照れ隠しのように始まった会話

「今、恋してる?」って聞くから
「今、恋してるの?」って聞き返した

知りたいことはお互い同じ

隣にいられることがうれしかった

巻き戻して思い出を
あなたがまだいるうちに
離れたら消えてしまいそう
古いフィルムのように


帰り道
どちらからともなく
手をつないで歩いた

遠くて近い記憶の中の
大きくて暖かい手が愛おしかった

いつまでも
いつまでも
歩いていたかった

巻き戻して思い出を
出会った頃のふたりに
あなたが去ってしまわぬうちに
心に焼きつけるの 強く強く


別れ際に重ねた唇はあの日と同じ

過ぎた時間が惑わせる

きっと会える いえ会えない
続きは誰にもわからない
忘れものは悔まないで
新しいものを手に入れて

上を向き息を吸った
涙が出ないように



もう戻らないことも
もう戻れないことも
知っているから







「巻き戻して思い出を」 by 松任谷由実








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